「嫌オタク流」とその読者たちの反応
まず誤解しないで欲しいことが。この本のタイトルと4人の著者名だけ見たら、この4人がよってたかってオタク叩きしてるような印象を持つかもしれませんが、それは違いまして。本書の冒頭に、
本書は、現代オタク事情に関しては門外漢としか言いようがない二人、つまりぼくと中原昌也氏が、その世界の方(海猫沢めろん氏、更科修一郎氏)に、こういった疑問をぶつけてみた対談集である。
(高橋ヨシキ 「はじめに」より)
とあるように、海猫沢・更科両氏がオタクプレゼン係、中原氏・高橋両氏がオタク批判係という役割分担になっていますのでお間違え無いよう。
あと上にもあるように、この本でオタクについて語ると言ってもそれはあくまで「現代オタク(萌えオタクとかその辺)」を中心にしてのことですので、これも誤解の無きように。
とりあえず本編の感想はさておきまして、むしろ僕が面白いなあと思ったのがこの本を読んだ人達の感想。これが見事に千差万別でして、この本を読んでどのような感想を持つかによってその人の"立ち位置"みたいなものがあぶり出せるんじゃないかなあ、と思いました。具体的にどうなんだと言われたら答えられませんが。
僕がレビュー等を見て回った範囲では、この本の感想は概ね以下のような感じでした。
- 割と内容は的を射ているよ派
- オタクもこの本を読んで反省すべき点があるよ派
- 「オタクこそが優生種族である」と本気で思っている人が居るのならその人こそが読むべきだよ派
- 中原昌也は素晴らしいよ派
- 中原昌也がどうしようもなさすぎだよ派
- 更科修一郎が出ている時点でもうげっそりだよ派
- 海猫沢めろん、更科修一郎はよくやってるよ派
- これは真に受ける方がバカだよ派
- ムキになって反論したらそれこそ奴らの思う壺だよ派
- この本全体が高度なブラックジョークだよ派
- 高度にメタ的にナンセンス化された前衛言論なのかもしれないよ派
- この本の目的がよく分からないよ派
- 言ってることは悪くは無いがお前らが言うなよ派
- クソつまらないよ派
- オタクのことを全然理解してないよ派
- こんなオタク居ねぇよ派
- 内容が薄すぎ・説得力が無さすぎだよ派
- 居酒屋トークの域を出ていないよ派
- 罵倒するにもまだまだヌルいよ派
- オタクのことを全然理解してないよ派
- そもそも読み辛いんで買ったけど読んでないよ派
まあ、派と言っても言ってるのは一人だったり分類がアレだったりしますがその辺は気にしないでください。
やはりキーとなっているのが中原昌也氏で、彼の普段の言動や立場なんかを理解しているのと理解していないのとでは大きく評価が変わるなあといった感じ。
で、感想としては、けっこう頷ける部分が多かったり、現代のオタク文化に潜む病理と言うかそこ突かれると痛いなーみたいな点がいくつか指摘されていたりで、なかなか面白かったです。中原氏のぶっ飛んだ発言も普通に面白かったし。読みづらい本だとも言われていましたが僕に限って言えば別にそんなことは無く、最後まで興味深く一気読みしました。
あとこの本の読者対象がよく分からないという意見もありましたが、これはもうはっきり言って100%オタオタ向けの本でしょう。ということでオタオタにはオススメの一冊、それ以外の人はまあ気が向いたら読んでみてはいかがでしょうかということで。
あとあと海猫沢めろん氏について、正直僕はこの方のことは全然知らなかったのですが、この本を読んでかなり好印象を持ちました。今度機会があったら著作も読んでみよう。